第4章は統計を扱います。


今回も「シロート統計学」のハルさんとコラボレーションすることとなりました。


シロート統計学はEZRを使った統計分析をわかりやすく解説されています。


 


第4章はシロート統計学で使われていたEZRをRで行うとどうなるのか?といった視点で進めていきます。


今回使うデータもハルさんのサイトと同じものを使わせでいただく事になりました。それぞれ見比べることで参考にしてみてください!


今回はKruskal-Wallis(クラスカル・ウォリス)検定を紹介します



まずKruskal-Wallis(クラスカル・ウォリス)検定についてはハルさんのサイトをご参照ください。



また1.準備〜4.データの読み込みまでは【4-1】Rでt検定を行う方法と全く同じ流れになります。
もし1〜4まででわからない部分があれば確認してみてください。

 

1.準備

第4章は毎回ExcelデータをダウンロードしてRを使うのでプロジェクトで管理して行うことを勧めています。

 

ここではR練習というプロジェクトを作り、Excelファイルを入れるためのdataフォルダを作っています。
これを前提に次から進めていきます。
スクリーンショット 2019-10-20 7.54.14


2.スクリプトファイルの作成

次にRのコードを書くためのスクリプトファイルを作ります。


スクリーンショット 2019-11-12 7.48.34


3.データのダウンロード

今回もハルさんのサイトのデータを使わせていただきます。

デモデータ(Kraskal-Wallis検定)

この章ではRを使ってダウンロードしています。


download.file(url = “ファイルのURL”,
        destfile = “保存したい場所/ファイル名”)
urlはデモデータで右クリック → リンクのアドレスをコピー
destfileは保存場所と保存のファイル名を指定します。


実際のコードは以下になります。
前回のコードのURL(" "の中)とdestfileのdata/以降を変更するだけでOKです。
#データのダウンロード
url <- "https://haru-reha.com/wp-content/uploads/2018/05/demo-kruskal-wallis-test.xlsx"
destfile = "data/demo-kruskal-wallis-test.xlsx"

download.file(url, destfile)
スクリーンショット 2019-11-12 20.43.14


dataフォルダにダウンロードできたことを確認します。


4.データの読み込み

データを読み込みます。
今回は【4-0】第4章を進めていく上での準備で行った方法で進めます。

View Fileでデータを確認します。

スクリーンショット 2019-11-12 7.50.38




データが入っているセルを確認します。
B2からC92までデータが入っています(B2:C92と表記)
スクリーンショット 2019-11-12 7.51.15



次にImport Datasetでデータを取り込みます。
スクリーンショット 2019-11-12 7.50.38


Import画面ではName, Sheet,Rangeを指定します。

Name:ハルさんのサイトではBWでしたがbw_kwとします(大文字・小文字は別物とされます)
Sheet:このExcelは1つしかデータがないのでDefaultのままでOK
Range:先ほど確認したB2:C92

スクリーンショット 2019-11-12 20.43.55


Importボタンを押す前に右にあるコードをコピーしスクリプトファイルに貼り付けることも忘れずに行います。
#データの読み込み
library(readxl)
bw_kw <- read_excel("data/demo-kruskal-wallis-test.xlsx", 
                    range = "B2:C92")
View(bw_kw) 

データが正しく入っていることを確認します。
スクリーンショット 2019-11-12 20.46.07


これでデータの取り込みは完成です。

5.正規分布の確認

ハルさんのサイトに沿って正規分布の確認を行います。

正規分布の確認は【4-1】Rでt検定を行う方法で紹介しています。
以下のコードがイメージできない場合はまずこちらの記事をご参照ください。

 

まずヒストグラムで分布を確認します。
1つずつグラフを作るのは手間がかかるので、まとめてグラフを作ります。

ヒストグラムはgeom_histgram関数を使います。
グラフが重なっていると見にくいのでfacet.gridでカテゴリーごとにグラフを分けます。
ちなみに【4-10】Rで分散分析(一元配置分散分析)を行う方法で作ったヒストグラムのコピペでできてしまいます。変数名を変えるだけです。




library(tidyverse)
ggplot(data = bw_kw) +
  geom_histogram(aes(x = BW, fill = category), bins = 5) +
  facet_grid(category ~ .)
スクリーンショット 2019-11-08 15.27.34

6.シャピロ・ウィルク検定
次にハルさんのサイトでは正規性の検定を行っています。
正規性の検討はshapriro.test関数3つのカテゴリーそれぞれに行う必要があります。

今回はsplit関数map関数を使いまとめて行ってみます。
これも【4-10】Rで分散分析(一元配置分散分析)を行う方法で作ったコードと全く同じです。
変数名を変えるだけです。

コードを使うと他でも役に立つことがわかります。

bw_kw %>% 
  split(.$category) %>% 
  map(~shapiro.test(.$BW))
スクリーンショット 2019-11-12 20.54.55


まとめて結果が出ました。全てp < 0.05ですので正規分布であるという仮説が棄却されました。

7.グラフを作る
今回はノンパラメトリックの検定を行うので箱ひげ図を作成します。
箱ひげ図の作り方は【3-6】Rのggplot2で箱ひげ図を作るgeom_boxplot関数で紹介しています。

ggplot(data = bw_kw) +
  geom_boxplot(aes(x = category, y = BW))
スクリーンショット 2019-11-15 8.01.00


もしEZRと同じようなグラフであればboxplot関数も使えるので併せて消化しします。

boxplot(数値 ~ グループ, data = ◯◯)
boxplot(数値 ~ グループ)


boxplot(BW ~ category, data = bw_kw)
スクリーンショット 2019-11-15 8.01.06



8.Kruskal-Wallis(クラスカル・ウォリス)検定を行う

正規性が棄却されましたので今回はノンパラメトリックのKruskal-Wallis(クラスカル・ウォリス)検定を行います。


Kruskal-Wallis検定はEZRではkruskal.test関数を使います。

kruskal.test(目的変数 ~ factor(グループ), data = データ)

目的変数:BW
グループ:factor(category)
data = bw_kw

kruskal.test(BW ~ factor(category), data=bw_kw)
スクリーンショット 2019-11-13 16.53.51

EZRと同じ関数を使っているので同じ結果になりました。


またMann-Whitney U 検定のときに紹介したcoinパッケージでも行うことができます。
もしcoinパッケージを使ったことがなければインストールします。

#coinパッケージのインストール
#1度でもしていればしなくてOK
install.packages("coin")

coinパッケージのkruskal_test関数はkruskal.test関数と同じ使い方です。
使う前にlibrary関数で呼び出します。
そしてグループにはfactor関数もしくはas.factor関数でfactor型に変更します。

kruskal_test(目的変数 ~ factor(グループ), data = データ)

library(coin)

kruskal_test(BW ~ factor(category), data=bw_kw)
スクリーンショット 2019-11-13 22.38.20

Asymptotic(漸近的:正規近似)とあるので正確検定ではないようです。
そのためEZRと同じ結果になりました。
実は3以上のグループではなく2変数だと正確検定を行うことができます。



9.多重比較(Steel-Dwass法)を行う

EZRで使っていたSteel-Dwass法はEZR専用のパッケージなので、Rで行うにはNSM3パッケージpSDCFlig関数を使う必要があります。
ちなみにEZRのSteel-Dwass法は正確検定ではなく正規近似を行います。
NSM3パッケージではデータ数が少なければ正確近似ができますが、データ数が大きくなると計算量が膨大になりすぎて実施できません。モンテカルロ法もしくは正規近似を行うことになります。今回の90例では正確近似はできませんでした。
正規近似と正確検定、Steel-Dwass法の使い方に関しては多重比較 Steel-Dwass 正規近似と正確検定: U 検定が基準に詳しく紹介されています。
#EZRと同じ正規近似で行う場合
pSDCFlig(目的変数, factor(グループ), method = "Asymptotic")

#正確検定を行いたい場合(データが多いと自動的にモンテカルロ法になる)
pSDCFlig(目的変数, factor(グループ))

目的変数:bw_kw$BW
グループ:factor(bw_kw$category)
*グループはfactor型にする必要があるためfactor関数as.factor関数を使います。
*今回もdata = ◯◯ は使えないので を使います。

#Steel-Dwass法を行うためにNSM3パッケージをインストール
#1度でもインストールしてたらこの1行は必要なし
install.packages("NSM3")

#NSM3パッケージの呼び出し
library(NSM3)

#EZRと同じ正規近似で行う場合
pSDCFlig(bw_kw$BW, factor(bw_kw$category), method = "Asymptotic")

#正確検定を行いたい場合(データが多いと自動的にモンテカルロ法になる)
#結果に時間がかかるので注意! pSDCFlig(bw_kw$BW, factor(bw_kw$category))
スクリーンショット 2019-11-15 2.39.39

それぞれのp値は以下になりました。
大きな差はありません。
A-B:正規近似0.014、モンテカルロ0.0142
A-C:正規近似0.0255、モンテカルロ0.0249
B-C:正規近似0.9006、モンテカルロ0.902


10.ひとまずまとめ

今回はRでKruskal-Wallis(クラスカル・ウォリス)検定と多重比較であるSteel-Dwass法の紹介をしました。ハルさんのサイトではここまでですがBonferroniやHolm法でp値の調整をするにはどうしたら良いのか?Mann-Whitney U検定でさんざん問題になったタイと正確検定に関してはどうなったんだ?という方は続きがありますので興味がある方は続きをご覧ください。

次回は反復測定分散分析を紹介します。



11.他の多重比較の方法

一元配置分散分析でも紹介しましたが、他の多重比較にはBonferroniHolmHochbergなどがあります。



一元配置分散分析の多重比較ではpairwise.t.test関数を使いましたが、Kruskal-Wallisではpairwise.wilcox.test関数を使います。簡単に言うと全ての組み合わせでMann-Whitney U検定を行いその結果を元にp値の調整を行います
どの方法を使うかはp.adjust.method = で指定します。

pairwise.wilcox.test(目的変数factor(グループ),  p.adjust.method = "◯◯")

pairwise.wilcox.test(bw_kw$BW, as.factor(bw_kw$category), p.adjust.method = "bonferroni")
pairwise.wilcox.test(bw_kw$BW, as.factor(bw_kw$category), p.adjust.method = "holm")
pairwise.wilcox.test(bw_kw$BW, as.factor(bw_kw$category), p.adjust.method = "hochberg")
スクリーンショット 2019-11-15 19.11.42

ただ、この方法だと警告が出ます。タイ(同順位)があるためです。
タイに関してはMann-Whitney U検定で紹介しました。




今回はずっと正規近似で行っているので正確近似で出すのであれば exact = FASEを追記します。
そうすればエラーは出ません。

pairwise.wilcox.test(bw_kw$BW, as.factor(bw_kw$category), p.adjust.method = "bonferroni", exact = FALSE)
pairwise.wilcox.test(bw_kw$BW, as.factor(bw_kw$category), p.adjust.method = "holm", exact = FALSE)
pairwise.wilcox.test(bw_kw$BW, as.factor(bw_kw$category), p.adjust.method = "hochberg", exact = FALSE)
スクリーンショット 2019-11-15 19.21.16


11.どうしても正確検定を行いたい!!!という方は手計算が必要

多重比較は各組み合わせでMann-Whitney U検定を行いその結果を元にp値の調整を行います。
ただpairwise_wilcox_test関数が存在せず自分で手計算するしかありません。

そのためどうしても正確検定を行いたい場合はcoinパッケージwilcox_test関数を使い、1つずつ組み合わせを行い、BonferroniHolmHochbergそれぞれの方法で自分でp値を直接計算することになります。

この方法は統計ERさんの記事に詳しく紹介されています。
更にBonferroniHolmHochbergって何をしてるの?という疑問も解決するかもしれません。
仕組みがわかればp値に2とか3とかかけるだけなので意外と単純です。



12.本当にまとめ
今回はRでKruskal-Wallis(クラスカル・ウォリス)検定と多重比較であるSteel-Dwass法の紹介をしました。ノンパラメトリック検定はタイと正確検定をするか正規近似を行うか?の問題がありますが、Mann-Whitney U検定のちゅんたろさんのツイートがここでも参考になると思います。


そしてそもそもp値がより小さければより差が大きいわけではありませんので、正確検定か正規近似か?よりも研究デザインが適切かどうかの方が大切になるかもと言うのが個人的なイメージです。

次回は反復測定分散分析を紹介します!

13.今回使ったコード

今回使ったコードを紹介します。
#データのダウンロード
url <- "https://haru-reha.com/wp-content/uploads/2018/05/demo-kruskal-wallis-test.xlsx"
destfile = "data/demo-kruskal-wallis-test.xlsx"

download.file(url, destfile)

#データの読み込み
library(readxl)
bw_kw <- read_excel("data/demo-kruskal-wallis-test.xlsx", 
                    range = "B2:C92")
View(bw_kw) 

#正規性の確認
library(tidyverse)
ggplot(data = bw_kw) +
  geom_histogram(aes(x = BW, fill = category), bins = 5) +
  facet_grid(category ~ .)


bw_kw %>% 
  split(.$category) %>% 
  map(~shapiro.test(.$BW))

#グラフの作成
ggplot(data = bw_kw) +
  geom_boxplot(aes(x = category, y = BW))

boxplot(BW ~ category, data = bw_kw)

#Kruskal-Wallis検定
kruskal.test(BW ~ factor(category), data = bw_kw)

#coinパッケージでKruskal-Wallis検定を行う場合
library(coin)
kruskal_test(BW ~ factor(category), data = bw_kw)


#Steel-Dwass法を行うためにNSM3パッケージをインストール
#1度でもインストールしてたらこの1行は必要なし
install.packages("NSM3")

#NSM3パッケージの呼び出し
library(NSM3)

#EZRと同じ正規近似で行う場合
pSDCFlig(bw_kw$BW, factor(bw_kw$category), method = "Asymptotic")

#正確検定を行いたい場合(データが多いと自動的にモンテカルロ法になる)
#結果に時間がかかるので注意!
pSDCFlig(bw_kw$BW, factor(bw_kw$category))


#他の多重比較

pairwise.wilcox.test(bw_kw$BW, as.factor(bw_kw$category), p.adjust.method = "bonferroni")
pairwise.wilcox.test(bw_kw$BW, as.factor(bw_kw$category), p.adjust.method = "holm")
pairwise.wilcox.test(bw_kw$BW, as.factor(bw_kw$category), p.adjust.method = "hochberg")

#正規近似を使えば警告は出ない。exact = FALSEを追加すれば良い
pairwise.wilcox.test(bw_kw$BW, as.factor(bw_kw$category), p.adjust.method = "bonferroni", exact = FALSE)
pairwise.wilcox.test(bw_kw$BW, as.factor(bw_kw$category), p.adjust.method = "holm", exact = FALSE)
pairwise.wilcox.test(bw_kw$BW, as.factor(bw_kw$category), p.adjust.method = "hochberg", exact = FALSE)


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