2019年12月

第4章は統計を扱います。


今回も「シロート統計学」のハルさんとコラボレーションすることとなりました。


シロート統計学はEZRを使った統計分析をわかりやすく解説されています。


 


第4章はシロート統計学で使われていたEZRをRで行うとどうなるのか?といった視点で進めていきます。


今回使うデータもハルさんのサイトと同じものを使わせでいただく事になりました。それぞれ見比べることで参考にしてみてください!


今回はFriedman(フリードマン)検定を紹介します



まずFriedman(フリードマン)検定についてはハルさんのサイトをご参照ください。



また1.準備〜4.データの読み込みまでは【4-1】Rでt検定を行う方法と全く同じ流れになります。
もし1〜4まででわからない部分があれば確認してみてください。

 

1.準備

第4章は毎回ExcelデータをダウンロードしてRを使うのでプロジェクトで管理して行うことを勧めています。

 

ここではR練習というプロジェクトを作り、Excelファイルを入れるためのdataフォルダを作っています。
これを前提に次から進めていきます。
スクリーンショット 2019-10-20 7.54.14


2.スクリプトファイルの作成

次にRのコードを書くためのスクリプトファイルを作ります。

スクリーンショット 2019-12-08 20.26.22

3.データのダウンロード


今回もハルさんのサイトのデータを使わせていただきます。

デモデータ(Friedman検定)

この章ではRを使ってダウンロードしています。


download.file(url = “ファイルのURL”,
        destfile = “保存したい場所/ファイル名”)
urlはデモデータで右クリック → リンクのアドレスをコピー
destfileは保存場所と保存のファイル名を指定します。


実際のコードは以下になります。
前回のコードのURL(" "の中)とdestfileのdata/以降を変更するだけでOKです。
#データのダウンロード
url <- "https://haru-reha.com/wp-content/uploads/2018/05/demo-friedman-rank-sum-test.xlsx"
destfile = "data/demo-friedman-rank-sum-test.xlsx"
download.file(url, destfile)
スクリーンショット 2019-11-23 22.14.17


dataフォルダにダウンロードできたことを確認します。


4.データの読み込み

データを読み込みます。
今回は【4-0】第4章を進めていく上での準備で行った方法で進めます。

View Fileでデータを確認します。

スクリーンショット 2019-12-08 20.31.39


データが入っているセルを確認します。
B2からC22までデータが入っています(B2:D32と表記)
スクリーンショット 2019-12-08 20.31.58



次にImport Datasetでデータを取り込みます。
スクリーンショット 2019-12-08 20.31.39



Import画面ではName, Sheet,Rangeを指定します。

Name:ハルさんのサイトではgripでしたがgrip_friedmanとします(大文字・小文字は別物とされます)
Sheet:このExcelは1つしかデータがないのでDefaultのままでOK
Range:先ほど確認したB2:D32(実は今回のように表以外に余計なものがなければ空欄でもOK)

スクリーンショット 2019-12-08 20.35.24


Importボタンを押す前に右にあるコードをコピーしスクリプトファイルに貼り付けることも忘れずに行います。
library(readxl)
grip_friedman <- read_excel("data/demo-friedman-rank-sum-test.xlsx")
View(grip_friedman)

データが正しく入っていることを確認します。
スクリーンショット 2019-12-08 20.36.11


これでデータの取り込みは完成です。
Friedman検定は繰り返しのデータ(被験者内要因)なのでデータを横につなげています。


5.Friedman検定を行う(wideデータの場合)

ハルさんのサイトでは早速Friedman検定を行っていますのでこちらも早速行います。
今回はwideデータなのでまずwideデータの場合を紹介します。

Friedman検定はfriedman.test関数を使います。

friedman.test(cbind(繰り返しデータのある列))
スクリーンショット 2019-12-09 0.52.59

friedman.test(cbind(grip_friedman$W0,grip_friedman$W1,grip_friedman$W2))
スクリーンショット 2019-12-09 0.54.04

EZRと同じ結果が出ました。

6.Friedman検定を行う(longデータの場合)
次にlongデータでFriedman検定を行う方法も紹介します。

friedman.test(データ ~ グループ | 個人を識別するid, data = ○○)

スクリーンショット 2019-12-09 0.58.27

Friedman検定は対応のあるデータになります。

今回は30人がW0,W1,W2の3回データを取っているので3*30=90データあります。
そのため作るlongデータは上記のイメージになります。

今回はid, time, gripとしてますが自分がわかれば好きな名前を付けてOKです。
id:30人の内誰のデータかわかるためのid(氏名でも可)
time:W0, W1, W2の3つ
grip:今回測定した握力のデータ
wideデータをlongデータに変えるにはgather関数、もしくはpivot_longer関数を使います。
gather関数に関しては【2-5】Rでデータを集計するのに便利なlongデータとgather関数で紹介しています。



データの扱いはtidyverseパッケージに含まれていますので。まずlibrary関数でtidyverseパッケージを読み込みます。今回はgrip_friedman_longという名前にします。

library(tidyverse)

#gather関数の場合 grip_friedman_long <- grip_friedman %>% rowid_to_column("id") %>% gather(key = time, value = grip, W0:W2, factor_key = TRUE)

#pivot_longer関数の場合 grip_friedman_long <- grip_friedman %>% rowid_to_column("id") %>% pivot_longer(cols = c(W0,W1,W2), names_to = "time", values_to = "grip", names_ptypes = list(time = factor()))

ポイントはもともとのExcelデータにidにあたる列がないことです。
そこでrowid_to_column関数を使います。""の中身が列名になります。
スクリーンショット 2019-12-09 1.14.03

これで準備が整いました。

longデータでFriedan検定を行う場合は改めてこうなります。

friedman.test(データ ~ グループ | 個人を識別するid, data = ○○)
friedman.test(grip ~ time | id, data = grip_friedman_long)
スクリーンショット 2019-12-09 0.54.04
もちろん結果は同じです。

7.多重比較を行う
Friedman検定で多重比較を行いたいのですがwideデータだとEZR専用のパッケージでしかできません。
そのためRで行うにはlongデータで行う必要があります。

longデータで多重比較を行うにはpairwise.wilcox.test関数を使います。簡単に言うと全ての組み合わせでMann-Whitney U検定を行いその結果を元にp値の調整を行います
どの方法を使うかはp.adjust.method = で指定します。
またタイのエラーを回避するためにexact = FALSEを入れています。
data = 

pairwise.wilcox.test(目的変数factor(グループ),  p.adjust.method = "◯◯", paired = TRUE, exact = FALSE)

#Bonferroniの方法
pairwise.wilcox.test(grip_friedman_long$grip, grip_friedman_long$time, p.adjust.method = "bonferroni", paired = TRUE, exact = FALSE)
#Holmの方法
pairwise.wilcox.test(grip_friedman_long$grip, grip_friedman_long$time, p.adjust.method = "holm", paired = TRUE, exact = FALSE)
スクリーンショット 2019-12-09 1.39.44
EZRとほぼ同じ結果になりました。

8.どうしてもwideデータのままなら手計算が必要

wideデータのまま多重比較を行う方法がEZRのパッケージしかありません。

そのためどうしてもwideデータのまま行うにはwilcox.test関数、もしくはcoinパッケージwilcox_test関数を使い、1つずつ組み合わせを行い、BonferroniHolmHochbergそれぞれの方法で自分でp値を直接計算することになります。

この方法は統計ERさんの記事に詳しく紹介されています。
更にBonferroniHolmHochbergって何をしてるの?という疑問も解決するかもしれません。
仕組みがわかればp値に2とか3とかかけるだけなので意外と単純です。
 


8.まとめ

今回はFriedman検定を紹介しました。

もしRで行う場合はwideデータで分析するかlongで分析するかをあらかじめイメージしていた方がその後の解析もスムーズかもしれません。

次は相関係数について紹介します!

9.今回使ったコード
#データのダウンロード
url <- "https://haru-reha.com/wp-content/uploads/2018/05/demo-friedman-rank-sum-test.xlsx"
destfile = "data/demo-friedman-rank-sum-test.xlsx"

download.file(url, destfile)

library(readxl)
grip_friedman <- read_excel("data/demo-friedman-rank-sum-test.xlsx")
View(grip_friedman)

friedman.test(cbind(grip_friedman$W0,grip_friedman$W1,grip_friedman$W2))

#pivot_longer関数の場合
grip_friedman_long <-
  grip_friedman %>% 
  rowid_to_column("id") %>% 
  pivot_longer(cols = c(W0,W1,W2), names_to = "time", values_to = "grip", names_ptypes = list(time = factor())) 

#gather関数の場合
grip_friedman_long <-
  grip_friedman %>% 
  rowid_to_column("id") %>% 
  gather(key = time, value = grip, W0:W2, factor_key = TRUE)

friedman.test(grip ~ time | id, data = grip_friedman_long)

pairwise.wilcox.test(grip_friedman_long$grip, grip_friedman_long$time, p.adjust.method = "bonferroni", paired = TRUE, exact = FALSE)
pairwise.wilcox.test(grip_friedman_long$grip, grip_friedman_long$time, p.adjust.method = "holm", paired = TRUE, exact = FALSE)
 

記事一覧はこちらになります。


第4章では統計を扱っています。
その中で何度か分散分析のを紹介してます。

【4-10】Rで分散分析(一元配置分散分析)を行う方法
【4-12】Rで1要因反復測定分散分析(repeated-measures-ANOVA)を行う方法①
【4-12】Rで1要因反復測定分散分析(repeated-measures-ANOVA)を行う方法②

Rで分散分析を行う関数はいくつかあり、今までaov関数、lm関数→anova関数、Anova関数など紹介してきました。
ただRにはANOVA君という分散分析に特化したスクリプトがあります。

ANOVA君を使えばどんな形式の分散分析でも行え、多重比較も一気にできます。

今回はANOVA君を紹介します。



1.データの準備

今回は前回のデータを使います。記事の1~4までをご準備ください。


もし前回の記事を見るなんて面倒くさい!という方は以下のコードを実行してください。
(このコードはデータの保存場所が今までのの記事と違います)

#データのダウンロード
url <- "https://haru-reha.com/wp-content/uploads/2018/05/demo-repeated-measures-anova.xlsx"
destfile <- "demo-repeated-measures-anova.xlsx" #今まで第4章の記事を読まれて実践されてる方は destfile <- "data/demo-repeated-measures-anova.xlsx"
download.file(url, destfile) #データの読み込み library(readxl) grip_rep_anova <- read_excel("data/demo-repeated-measures-anova.xlsx", range = "B2:E32") View(grip_rep_anova)

スクリーンショット 2019-11-25 22.48.23
前回は
ある運動プログラムを行い、0週目・1週目・2週目で握力を測定した、ということを想定した仮想データとなっています。更に男女の群分けも行います。

2.被験者間要因と被験者内要因と分散分析のデザインについて
分散分析を行う上で大切なのが被験者間要因と被験者内要因についてです。

スクリーンショット 2019-11-24 6.33.40
被験者間要因はいわゆる対応のないデータのことで被験者全体をA法、B法の2つに割り振るといった方法です。なので同じ人がA法とB法を行うことはありません。
被験者内要因はいわゆる対応のあるデータのことで同じ人が繰り返し測定します

そして被験者間要因は列の左側に、被験者内要因は列の右側に並べると後々分析しやすくなります。
また被験者間要因は縦に、被験者内要因は横につなげると分析を行うには都合がいいです。

仮に下のデータがあったとします。
スクリーンショット 2019-11-24 6.35.12
この並びが分散分析を行う上での基本的な形になります。

要因が3つ(sex, treatment, 繰り返し)あるのでABC
被験者間要因と被験者内要因の間にsを付ける

上記の場合はABsCデザインと言います。
また被験者間要因と被験者内要因が両方あるデザインを混合計画とも呼んだりします。

ANOVA君を使うためにはこのデザインの名付け方とデータの並べ方が鍵になります。

3.ANOVA君の導入

ANOVA君は通常のインストールでは行なえません。

ANOVA君の作者である井関龍太さんのホームページでダウンロードする必要があります。



上記記事でtxtファイルを保存します。
保存場所は作業フォルダに入れておくとすぐに使えますが、どこでも大丈夫です。
作業フォルダはgetwd関数を使えばわかります。()内は何も入れません。

getwd()


RstudioでCode→Source Fileでダウンロードしたファイルを指定すればOKです。
スクリーンショット 2019-11-28 7.54.56


4.ANOVA君を使うためのデータの準備

ANOVA君を使うには次の情報が大切です。
①何デザインか?
②デザインに併せたデータの並び順にする

①何デザインか?

今回は以下の列があります。

被験者間要因:sex(A
被験者内要因:W0,W1,W2の繰り返し(B


【4-12】Rで1要因反復測定分散分析(repeated-measures-ANOVA)を行う方法①ではBのみで分散分析を行いました。この場合は被験者間要因がありませんのでsAデザインとなります。

【4-12】Rで1要因反復測定分散分析(repeated-measures-ANOVA)を行う方法②では被験者間要因がA被験者内要因がBなのでAsBデザインとなります。

分散分析には一元配置とか二元配置とか反復測定とか混合モデルとかいろいろあるのですが、なれない方はまず上記のデザインが付けられることを優先してもいいと思います。その後書籍で二元配置とか出てきた時にそのデータをみながら「あぁ、これは○○デザインのことだな」と理解できればいいと思います。

②デザインに併せたデータの並び順にする
そしてANOVA君はデザインの順にデータを並べることが必須です。

これはtidyverseパッケージのselect関数を使えばできます。
スクリーンショット 2019-11-25 22.48.23

今はW0,W1,W2,sexの順に並んでいます。

もしsAデザインならsexを消し、W0,W1,W2のみの列にします。
select関数は【2-4】Rで指定した列や行だけを取り出すselect関数、slice関数、filter関数を紹介しますで紹介しています。

今回はgrip_anovakun_1_wideという変数名を付けました。なんでも大丈夫です。
まずtidyverseパッケージを読み込んでから行います。

library(tidyverse)

grip_anovakun_1_wide <- grip_rep_anova %>% select(W0, W1, W2)

スクリーンショット 2019-12-02 23.30.22

もしAsBデザインならsex,W0,W1,W2の並び順にする必要があります。

grip_anovakun_2_wide <-
  grip_rep_anova %>% 
  select(sex, W0, W1, W2)

スクリーンショット 2019-12-02 23.32.04

これでデータができました。

5.ANOVA君を使う

ANOVA君で分散分析を行うにはanovakun関数を使います。

anovakun(データ, "デザイン", 各要素のグループの数)

ポイントはAやBの要素の数を入れることです。
スクリーンショット 2019-12-02 23.49.02
anovakun(grip_anovakun_1_wide, "sA", 3)
anovakun(grip_anovakun_2_wide, "AsB", 2, 3) anovakun(grip_anovakun_2_wide, "AsB", sex = c("F", "M"), time = c("W0", "W1", "W2"))

6.結果の見方
今回の結果をそれぞれ表示します。

①sAデザインの場合
anovakun(grip_anovakun_1_wide, "sA", 3)

スクリーンショット 2019-12-02 23.56.16

sAデザインと書いています。
AがW0,W1,W2だったので、a1,a2,a3と表記されます。
まず、それぞれの平均と標準偏差が書いてあります。

スクリーンショット 2019-12-03 0.03.43
つぎに反復測定分散分析に必要な球面性の検定を行っています。
球面性の検定に関しては【4-12】Rで1要因反復測定分散分析(repeated-measures-ANOVA)を行う方法①をご参照ください。

スクリーンショット 2019-12-03 0.03.48
そして分散分析表です。
sAデザインは要素が1つしかないので交互作用はありません。

スクリーンショット 2019-12-03 0.03.54
有意差があれば多重比較を行います。
多重比較をは何も指定しないとShafferの方法になります。
もしHolmの方法を行いたい!という場合は holm = TRUEを付け加えます。
anovakun(grip_anovakun_1_wide, "sA", 3, holm = TRUE)

②AsBデザインの場合
anovakun(grip_anovakun_2_wide, "AsB", sex = c("F", "M"), time = c("W0", "W1", "W2"))
スクリーンショット 2019-12-03 0.31.54
最初に各群の平均・標準偏差が書かれています。
スクリーンショット 2019-12-03 0.32.01
反復測定分散分析にひつような球面仮定性についてみています。


スクリーンショット 2019-12-03 0.33.01
次に分散分析表がでています。
今回みたいのはsex x timeの部分です。
timeで有意差がでているので時間経過の影響はあるようですが、その傾向は男女で違うようです。

スクリーンショット 2019-12-03 0.33.08
timeで有意差が出ていたので男女合わせたtimeで多重比較の結果が出ています。

スクリーンショット 2019-12-03 0.33.19
次はsex x timeの交互作用についてです。
今回みたいのは下のtime at Ftime at Mです。
女性・男性それぞれ時系列に差があるようです。

sex at W0 ~ W2はW0においてFとMに差があるか?という意味ですが今回知りたいことではありません。

スクリーンショット 2019-12-03 0.33.29
男女ともに時系列で有意差が見られたのでそれぞれの多重比較の結果が出ています。

どちらもW0 < W1 < W2で大きいようです。


7.まとめ

今回はANOVA君について紹介しました。

Rで分散分析を行うならANOVA君はあまりにも有名なので是非試してみてください!




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